5日目(帰宅)
最後の病院食。美味い、というほどではなかったが、ソコソコではあった。
料理下手だとこういうときいいな。たいして美味しくなくても、自分の料理よりマシだから、文句なく食べられる。 食事を終えて身支度が済んだ頃、夫と風花がやってきた。 忘れ物チェック。よし。 さぁ行こう。 同室のふたりに、「お元気で」とカーテン越しに挨拶した。 お向かいと斜交いのベッドの患者は、昨日ふたりとも退院し、今そこにいるひとたちは、昨日の昼過ぎに部屋替えでやってきたばかりである。斜交いさんは、私の翌日に生まれた。“退院指導”という院内の説明会で集められたとき、席が隣同士になって少しお喋りをしたのだが、とても感じの良いひとで、お互いふたりめということもあり、話がはずんだ。残念だな、はじめから同室なら、もっと仲良くなれたかもしれないのに。お向かいさんは一昨日生まれたばかりで、なんと白人さん。日本語はほとんど片言しか話せないらしく、ご主人(こちらは日本人)が助産師との間で通訳をしていた。一度だけ廊下ですれ違ったが、背の高い、アングロ・サクソン系というカンジだった。これも残念、ナマで英会話の勉強させてもらうチャンスだったかもしれないのにな(笑)。 声をかけると、斜交いさんが出てきて見送ってくれた。 「もっとお話したかったんですよ…」と、私が考えていたのと同じことを言ってくれる。そして、空になった隣のベッドに視線をやり、「だけど…、(隣のひとが)すごい変わったひとで」 ふたりで顔を見合わせて、当惑笑いをした。 そっか、あのひとから与えられる印象は同じだったんだ。あまりに騒がしく、突拍子もない発言ばかりしていたひとなので、気後れして、自分のベッドから出て他の患者に話しかけることができなかった、ということなんだろう。 お互いうなずきあい、そして、エールを送りあって別れた。 静かな廊下を、新生児用ベッドを押して(手を出そうとする風花に何度も「しィッ!」と注意しながら)進み、ナース・ステーションに顔を出して挨拶。 赤ちゃんを抱き上げ、ベッドを返して、エレベーター・ホールに向かった。 6日前、お腹に赤ちゃんを入れたまま、車椅子に乗せられて上ってきたエレベーターに、今度は両手に赤ちゃんを抱いて乗り込み、下りてゆく。 さあ、帰ろう。猫が待っている。 家族4人で、我が家に帰ろう。 新しい生活が、待っている。
by windblossom
| 2007-10-21 16:28
| 出産、そして
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